糸染めの下準備

阿佐工房

2013年11月21日 00:22

蛹(さなぎ)になった蚕(かいこ) の繭(まゆ)の中から蛾(が)がでてきます。蛾が出て(穴が開いて)しまうと、糸繰り(いとくり)ができないので、糸繰りに使う繭は10~12日くらい経過した所で乾燥か冷凍します。




繭(まゆ)からとる生糸は9000mで1gです→を1d(デニール)といいます。繭からとる生糸は細すぎて引っ張ると切れてしまうので、10~20粒の繭を集めて糸繰りをします。沸かしたお湯の中に繭を入れて、「かねたわし」か歯ブラシの静電気みたいので、とります。




撚糸(ねんし)をして、生糸を撚(よ)り合わせて強くします。


↑こんな感じで、撚り合わせます。

1d(デニール)生糸の21倍の太さ21dを8本撚り合わせると「21中8」となり、10本だと「21中10」の撚糸=撚り合わせた糸となります。「21中8」より「21中10」の撚糸が太いです。「中」は平均値の意味です。


同じ絹糸でも、真綿や糸繰りに適さない繭(まゆ)は紡(つむ)ぎ糸として紬織(つむぎおり)に利用されます。

絹糸=紬糸絹糸=撚糸など・・あります。



以前は経緯(たてよこ)とも紬糸(つむぎいと)を使用していましたが、最近は経糸(たていと)は撚糸、緯糸(よこいと)は紬糸を使用するが多くなっているようです。絹糸は紡(つむ)いで⇔麻糸や芭蕉糸の場合は績(う)むというようです。


これから
紡(つむ)いだ絹糸=紬糸(つむぎいと)ではなく⇔撚り合わせた絹糸=撚糸を染めてみます。



↑2綛カセ)づつ、をビニールひもでまとめてみました。経糸(たていと)は5~6反分を14綛、緯糸(よこいと)は1反分を4綛染めてみます。



絹糸を染める前に、精練(せいれん)という下準備をします。

繭と絹糸は、主にセリシンとフィブロインという蛋白質でできています。精錬をして、セリシンとフィブロインという蛋白質を少し落として、染付き良くします。

糸を洗う→精錬(せいれん)方法は、ソーダ灰精錬法、灰汁精錬法、マルセル石鹸精錬法など‥あります。せっけん洗いは、「ムラ染め」しにくい(均一に染まる)けど草木染めの染つきが悪く⇔ソーダ灰や灰汁は染つきは良いけど「ムラ染め」になりやすい傾向があります。



灰汁(木灰の上澄み液)で精錬する事にしてみます。



水(ほぼ中性)の中に木灰(アルカリ性)を入れて一晩寝かします。翌日、木灰は底に沈んで、「中性」の水は「アルカリ性」になっています。人間の皮膚は「弱酸性」になっているので気をつけます。また、灰汁(アルカリ性)は絹糸を痛めやすいので気をつけます。


phペーハー)7が中性、7~上はアルカリ性、7~下は酸性になっています。



↑20分くらいお湯で、攪拌とくるくる回しながら精錬します。



絹糸を上げ下げして、くるくる回します。


↑精錬が終わるとビニールひもに通しました。




絹糸は灰汁(アルカリ性)に弱いので、絹糸の精練後、酢酸(酸性)と水で「酸払い」します。これで絹糸を染める下準備は終わりです。


これから糸染めをしようと思います。










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